【2023年電気代値上げ】大手電力会社の値上げ申請と認可プロセスを徹底解説!

2023年電気代値上げ

大手電力会社7社の「規制料金」の値上げについて、経済産業省は正式に認可したと発表しました。

2023年6月使用分から適用されます。

火力発電に使う液化天然ガスの価格が高騰し、コスト負担が大きくなっているとして、2022年から順次、経産省に対して家庭向けの電気の値上げを申請していました。

値上げ率は15.3〜39.7%という大幅なものであるにもかかわらず、統計データのとり方の違いで巷にはさまざまな数字が出回っています。

報道機関各社の数値も然りで、これからどうなっていくのか、余計に生活者の不安感を煽る結果となっています。

「でんきる」では、経済産業省が発表されたデータを元に、単純化してお伝えするとともに、

  • 「どういうこと?」
  • 「どうなるの?」
  • 「どうしたらいいの?」

という疑問点にわかりやすく答えてきます。

でんきる

「規制料金」の値上げがいよいよ始まります。

東京電力エリアで一番申込みが多いのは東京ガス

  • 東京電力(従量電灯B)より料金単価が安い
  • 「電気・ガスセット割」で更に割引に
  • 解約金、違約金などすべて0円
しかも、基本料金が「 1ヶ月無料! 」

電気代(規制料金)の値上げ概要

電気代(規制料金)の値上げ概要

大手電力会社7社の値上げ率はどうなの?

まずは、下表をご覧ください。

※表は横スクロールします。

申請会社当初の値上げ申請率
a(%)
認可率=値上げ率
b(%)
差 a-b (%)査定率
(1-b/a)×100 (%)
北海道電力31.420.111.335.99
東北電力32.021.910.131.6
東京電力29.215.313.947.60
北陸電力43.439.73.78.53
中国電力29.526.13.411.53
四国電力26.823.03.814.18
沖縄電力41.736.65.112.23
でんきるオリジナル作成

※補足説明※

  • 経済産業省「特定小売供給約款の変更認可申請に係る査定方針【概要版】」より
  • レベニューキャップによる託送料金の改定影響を加味
  • 査定率は「でんきる」にて追加

こちらは2023年4月からスタートした託送料金の改定を加味した値上げ率の査定結果を一覧にしたものです。

そこに「でんきる」では「経産省がどの程度査定したのか?」を調査すべく、「査定率」という独自の数値を作り加えてものです。

結果は、北海道電力、東北電力、東京電力には特に厳しかったという内容です。

でんきる

如何に厳しい査定だったか分かりますよね。。。

経済産業省が厳しい査定を行ったとはいえ、15.3%~39.7%の値上げです。

単品商品の値上げ幅としては驚くべき数字です。

参考までに2022年度の消費者物価の上昇率は3.0%、2023年度が2.3%です。

でんきる

電気代の値上げ、なんとかならないのかな。。。

生活者への影響は?

実際の値上げ金額とまとめました。

■2023年、電気料金値上げの標準家庭(400kWh/月)への影響

※表は横スクロールします。

申請会社申請前
2022/11月
(a)
申請値(b)査定結果(c)
(d=c-b)
FIT賦課金
燃料費調整
激変緩和措置(e)
認可後
(f=c+e)
申請前との差額
(f-a)
北海道電力15,66220,71418,885-1,829-4,27614,609-1,053
東北電力13,47517,85216,657-1,195-4,37212,285-1,190
東京電力14,44418,45816,522-1,936-4,33212,190-2,254
北陸電力11,15516,49115,879-612-4,23211,647492
中国電力13,01217,42616,814-612-4,41212,402-610
四国電力12,88416,60916,123-486-4,19211,931-953
沖縄電力14,07420,04519,397-648未定14,681607
でんきるオリジナル作成

※補足説明※

  • レベニューキャップ制度による託送料を加味した値
  • 沖縄県のみ独自の負担軽減策を実施する予定

経済産業省が発表しているデータを元に、でんきるがオリジナルでまとめた表です。(参照:経済産業省HP

電気料金算出の構成要素である、

  • FIT賦課金
  • 燃料費調整額
  • 託送料
  • 激変緩和措置(@7円/kWhの値引き措置 ※2023年9月利用分まで)

の全てを包含した上で、標準家庭での電力使用量を400kWhに設定した場合の影響額です。

客観的に見て妥当な数値です。

激変緩和措置が効いており、電気代値上げによる影響は東京電力エリアを除くと、さほど大きくない印象を持つかもしれません。

でんきる

政府措置により大影響を出さすに済んでいるね!

関西・中部・九州電力は値上げ申請していない

大手電力7社と言いますが、大手電力会社は10社だったのでは?

10社のうち、関西・中部・九州の3電力は今回値上げ申請を実施していません。

今回の値上げ申請の理由は「ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格高騰」で、電力会社の負担が限界を超えたためです。

逆に言うと、LNG・原油・石炭への依存が大きい会社ほど、大きなダメージを受けています。

値上げ申請をする会社としない会社、その差の大きな原因は「原子力の再稼働」です。

火力発電比率(2021年)

  • 関西電力:43%
  • 九州電力:36%
  • その他:60%超

原子力再稼働の実現数

  • 関西電力:5機(近々で7機)
  • 九州電力:4機
  • 四国電力:1機

実際に定例の記者会見で、関西電力は電気料金水準を質問され、「(原子力再稼働により)規制料金の単純比較では確かに安い水準。値上げする電力会社の供給エリアの販売では有利になる」と発言しています。

中部電力は原子力の稼働と無関係ですが、2022年11月に燃料費調整額の上限を超えた段階で、早々と自由料金メニューの燃料費上限を撤廃したことが、要因の1つと言われています。

以下、原子力の現状をまとめました。

一部、再稼働を織り込んで認可を受けている電力会社がありますが、「大丈夫なのだろうか?」と誰もが思うでしょう。

※表は横スクロールします。

電力会社発電所名号機出力(万kw)型式現状料金改定対応
北海道電力157.9PWR審査中 織り込まず
 再稼働できれば
 値下げ
257.9PWR審査中
391.2PWR審査中
東北電力女川282.5BWR合格2024年2月~ 織込み
382.5BWR審査中織り込まず
東通1110BWR建設中織り込まず
東京電力柏崎刈羽1110BWR審査中織り込まず
2110BWR審査中織り込まず
3110BWR審査中織り込まず
4110BWR審査中織り込まず
5110BWR審査中織り込まず
6135.6ABWR合格2025年4月~ 織込み
7135.6ABWR合格2023年10月~ 織込み
北陸電力志賀154BWR審査中織り込まず
2135.8ABWR審査中2026年1月~ 織込み
中国電力島根282BWR合格2026年1月~ 織込み
3137.3ABWR建設中織り込まず
上関1137.3ABWR建設中織り込まず
2137.3ABWR建設中織り込まず
四国電力伊方389PWR運転中織込み済み
沖縄電力原子力発電所は保有していません
でんきるオリジナル作成

以下より電力会社毎にでんきる編集部が独自にコメントしていきます。

北海道電力の値上げ(値上げ率:20.1%)

でんきる

以下、でんきる編集部のコメントだよ!

20.1%という大きな値上げとなりました。

値上げの大義名分は「経営の健全化を図り、燃料の安定的な調達や電力設備の保全にしっかりと対応することで、電力の安定供給を継続していくため」ということです。

広大なエリアをカバーする会社ですから、一番心配されるのは「電力設備の保全」という点です。

査定はいいですが、本当に必要な設備投資まで削減されていないかどうか。

本当に大丈夫ですか?、と念押ししたい気持ちです。

発電設備に関しても苦い思い出があります。

10年ほど前の北海道東部地震の際、稼働していたのはほぼ「苫東厚真火力」のみ。

これが停止し、一気に周波数が下がり大停電につながりました。

これが、北海道千島海溝で切迫しているとされる大地震の震源域内ということです。

北海道電力に関しては、まず第一に「設備保全」を考えていただきたいと思います。

そうかといって無制限な料金値上げが認められるわけがありません。

早急な泊発電所の再稼働が求められます。

泊発電所が稼働すれば値下げする。と申請書に明記し、会見で明言している会社です。

東北電力の値上げ(値上げ率:21.9%)

でんきる

以下、でんきる編集部のコメントだよ!

21.9%という大きな値上げとなりました。

他と違い、よくこれで押さえた感があります。

東日本大震災により電力設備がほぼ壊滅し、ようやく立ち直りかけたタイミングでのこの災です。前表に示したとおり、女川発電所の再稼働を来年2月から織り込んでおられますが、大丈夫でしょうか。

電気料金を安定させるという観点からは立派な判断だと思いますが、地域の意思として本当に受け入れられるのでしょうか。

「再生可能エネルギー」や「分散型電源」導入のモデル地域に指定して、国の全面的支援を集中するとか、別の手立てがあり、それが料金安定にも資するのではないかと考えます。

東京電力の値上げ(値上げ率:15.3%)

でんきる

以下、でんきる編集部のコメントだよ!

値上げ率は15.3%と7社の中で最も低く、査定率は47.6%と最大です。

要は、東京電力は大幅な値上げを求めたが、経済産業省が大幅に削ったということです。

経済産業省そのものが、同社に対して問題点を感じているか、そう思われている民意を反映させたかのどちらかと予想します。

公聴会参加者の発言録を見ると、後者のような気がします。

  • いったん認めてしまうと後戻りできない不可逆的な価格転嫁
  • 消費者だけでなく産業界への影響は甚大、賃金を下げる努力をするべき
  • 稼働していない原発の固定費を支える契約の費用が算入されているのはおかしい
  • この固定費の契約を解約すれば、赤字を補っても余りあり、値上げしなくて済む

という状況です。

柏崎刈羽の再稼働を2023年10月から織り込んでいます。

【★必見★】新料金では東京電力より東京ガスの方が安くなる

※2023年8月の更新情報です※

東京電力は規制料金の値上げを2023年6月より開始しました。

これを追随する形で、東京ガスの基本プランも2023年9月から値上げを発表しています。

以下が、両社の値上げ後の電気料金表です。

基本料金は同一ですが、従量料金は全ての段階で東京ガスの方が安く、東京ガスと契約することで電気料金を安く抑えられます。

東京ガス 東京電力
基本料金 10A 295.24円 295.24円
15A 442.86円 442.86円
20A 590.48円 590.48円
30A 885.72円 885.72円
40A 1,180.96円 1,180.96円
50A 1,476.2円 1,476.2円
60A 1,771.44円 1,771.44円
電気料金 〜120kWh 29.9円 30円
120kWh〜300kWh 35.41円 36.6円
300kWh〜 37.48円 40.69円

また、東京ガスと契約するプラス材料は、「エネルギー価格の落ち着き」にあります。

2022年秋以降、エネルギー価格の高騰から燃料費調整額が上昇し、一時的に新電力である東京ガスの方が電気料金が高くなっていました。

しかし、2023年春以降エネルギー価格が下がり、燃料費調整額の上限以下で推移しているため、東京電力と比べて電気料金が高くなる材料が無くなり、状況が変わりつつあります。

現在、新電力である東京ガスと契約するメリット(料金が安い)が大きいです。

新料金において、東京ガスと契約するとどれくらい電気料金が安くなるのか試算をしてみました。

世帯 契約容量 使用量 東京ガス 東京電力 差額 差額(年)
一人暮らし
(単身)
30A 200 7,307円 7,414円 -107円 -1,287円
二人暮らし
(DINKS)
40A 300 11,143円 11,369円 -226円 -2,715円
四人暮らし
(家族)
50A 450 17,060円 17,768円 -708円 -8,492円

ライフスタイル毎に電気料金が安くなることが分かりますが、特にご家族世帯においては年間で約8,500円のお得になります。

東京ガスの電気代が安い理由

  • 東京ガス(基本プラン)の方が、東京電力(従量電灯B)より料金単価が安い
  • エネルギー価格が落ち着き始めた

東京電力エリアで一番申込みが多いのは東京ガス

  • 東京電力(従量電灯B)より料金単価が安い
  • 「電気・ガスセット割」で更に割引に
  • 解約金、違約金などすべて0円
しかも、基本料金が「 1ヶ月無料! 」

東京ガスの燃料費調整額について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください!

>> 東京ガスの燃料費調整額って何?お得に節約する方法を徹底解説!

北陸電力の値上げ(値上げ率:39.7%)

でんきる

以下、でんきる編集部のコメントだよ!

値上げ幅は39.7%と最も高く、注目すべきはその査定率の低さです。

政府は「燃料費が落ち着きつつある2022年11月から2023年1月の燃料価格で再申請せよ」という指示を一斉に出しました。

この間、確かに各社の燃料費は低減しましたが、北陸電力だけは違いました。

原因は「石炭」です。

福島第一で原子力が全停止した分をそのまま「石炭」に依存していました。

経産省が指定した、2022年11月から2023年1月の燃料輸入価格の貿易統計では、石炭価格は値上がりしています。

結果、申請会社一の値上げ率となり700億円ある積立金を全額取り崩すことが決定したようです。

現時点で、最も危機的な電力会社と言えるかもしれません。

ただ、光明も見えます。

志賀原子力です。

最近になって、原子力規制委員会は志賀発電所の直下に走る断層に「活動性はない」 という北陸電力の主張を認める判断をされました。

今後の道のりは長いと思いますが、是非、化石エネルギーへの過剰な依存から脱却していただきたいと思います。

注意点

東日本大震災の原発停止の際、北陸電力だけは電気料金の値上げを申請しませんでした。理由は、水力発電のウェートが高く、原発稼働停止の影響を抑えられたからです。

震災時に改定しなかった分だけ、北陸電力の値上がり率が大きく見えます。

中国電力の値上げ(値上げ率:26.1%)

でんきる

以下、でんきる編集部のコメントだよ!

カルテルの課徴金707億円。

「身から出た錆」とはいえ、大変な負担だと思います。

その中での値上げ幅は26%、キャッシュフローは大丈夫なのかなという感想です。

地元との関係は良好で、島根県の丸山知事が島根発電所2号機の再稼働について、 「現状においてはやむを得ない」というコメントとともに同意表明されました。

また丸山知事は、カルテルに関しても「裏切った関西電力に損害賠償を求めるべき」というコメントまで出されています。

地元知事さんの発言を聞く限り、地域対応に秀でた会社なのではないでしょうか。

山口県の上関発電所まで含めて、この会社は長期的に見ても安泰なのではと感じます。

電力料金値上げ認可から一週間目に「復配」を発表したことには驚きでしたが。

四国電力の値上げ(値上げ率:23.0%)

でんきる

以下、でんきる編集部のコメントだよ!

四国電力は、伊方3号機がずいぶん前から稼働していただけに、なぜ23%の値上げ?という感想です。

確かに2016年に原子力規制超の審査には合格しています。

ただし広島高等裁判所の判断により、長く翻弄され続けた発電所です。

いわゆる「司法判断」により不毛に時間だけを浪費した感があります。

イメージではかなり前から再稼働しているように思われますが、再稼働は2022年1月です。

需要自体があまり大きくない四国ですので、伊方3号機の再稼働が効果を表すのは、稼働率が上がり、安定して需要の20〜40%を賄えるようになってからと考えられます。

沖縄電力の値上げ(値上げ率:36.6%)

でんきる

以下、でんきる編集部のコメントだよ!

値上げ率36.6%、業界2番目の値上げ幅となりました。

ただし激変緩和措置として、政府の7円/kWhに加え、沖縄県独自の支援策として3円/kWh、計10円/kWhが補填されるようです。

また、政府助成の対象ではない特別高圧需要家にも県独自の補助を発表されています。

手厚いです。

結果、2024年3月期の連結損益は40億円の黒字に転換する予想としています。

電気代値上げの理由と認可のプロセス

電気代値上げの理由と認可のプロセス

なぜ電力料金が値上げされるのか?

今から30年前にスタートした「電力自由化」に遡ります。

これまで10社の大手電力会社の地域独占でやってきましたが、これからはできるだけ多くの業態に参入してもらい、「世界的に高値で生活や産業活動のボトルネック」となりつつあった電気料金の安定化と、あわよくば低廉化に繋げたいという意図でスタートしました。

発電の自由化から始まり、特別高圧・高圧・低圧と徐々に拡大させてきました。

順調に推移していましたが、その制度設計を根底から揺さぶるような出来事が相次ぎました。

1)原子力の全停止

東日本大震災をきっかけに「電力自由化」の大前提であった、安価で大量の商品(電気)が突然消え去りました。

2)異常気象・地球温暖化

電力供給の逼迫はクーラー利用による「夏」だけでなく、暖房利用により「冬」にも発生する状況になりました。

3)ロシアのウクライナ侵攻

エネルギー、特にLNGの世界的な高騰は、「燃料費調整額」の思わぬ過負担を招きました。

想定外の事態が幾重にも重なり、2023年の電気代値上げ申請に至っています。

電気代はなぜ値上げされるのか?を詳しくまとめた別記事があるので、そちらも参考にしてみてください。

>> 電気代はなぜ値上げされるの?背景から実際の値上げ金額について徹底解説

当初の値上げ申請と経済産業省の驚き

各社の値上げ申請後、西村産業大臣のコメントが印象的です。

時系列で見ると、電力会社と国民の間であちこちに揺れ、苦しい心情が垣間見えます。

  • 「あまりの値上げ幅に驚いた」
  • 「電気事業法上の要件を満たしていれば、経済産業大臣は認可しなければならない」
  • 「国民に納得していただけるよう、厳正に審査を行っていきたい」

結果、落とし所としての「再申請要請」となりました。

中途半端な値上げであった場合、、、「再々値上げ申請」も懸念されます。

経済産業省の査定方針

経済産業省は、値上げ申請幅を査定するにあたり「査定方針」を明確にしています。

査定方針(一部)

  • 燃料費:2022年11月~2023年1月のデータを用いる
  • 人件費:役員は国家公務員指定職並み。従業員は賃上げ分の原価参入は認めない。
  • 修繕費:過去の基準値超過分は原価参入を認めない。不使用資産は合理性により判断。
  • 広告費:優先度の低いものは料金原価から除く。
  • その他:経営効率化に対する係数設定や、今回の改定が燃料調達費用に起因するものであるため、基本料金は据え置く。

※参照※

経済産業省 特定小売供給約款の変更認可申請に係る査定方針【概要版】

今回の値上げの原因である燃料費は「事業者の経営努力の及ばない範囲」すなわち仕方ない範囲と定義しています。

これはすなわち、「その代わり経営努力の及ぶ範囲」は徹底的に締めますよという意味です。

電気代値上げまでのプロセス

関西電力のホームページに掲載されている資料が、一番分かりやすかったので参照します。

幾度にもわたる「公聴会」や「パブリックコメント」で「善意の国民の味方」への対応があります。

その後、消費者庁、経産省内の小委員会、関係閣僚会議と続きます。

でんきる

申請受理からのワークフローが大変そう!

電気代値上げの問題点

電気代値上げの問題点

今回の料金値上げ影響は理解いただけたと思いますが、今後の課題はどういったところでしょうか?

検証したいと思います。

政府の激変緩和措置(▲@7円/kWh)は2023年9月使用分まで

経済産業省は「激変緩和措置を含めると、多くの事業者で申請前よりむしろ低い水準」といったコメントを出しています。

でんきる

確かにそうではあるけれど・・・

しかし、激変緩和措置の▲@7円/kWhは2023年9月末までです。

400kWh/月の世帯では、2,800円の電気代削減になりますから、かなり大きなインパクトとなります。

■2023年、電気料金値上げの標準家庭(400kWh/月)への影響【激変緩和措置終了後】

※表は横スクロールします。

申請会社申請前
2022/11月
(a)
申請値(b)査定結果(c)
(d=c-b)
FIT賦課金
燃料費調整
(e)
認可後
(f=c+e)
申請前との差額
(f-a)
北海道電力15,66220,71418,885-1,829-1,47617,4091,747
東北電力13,47517,85216,657-1,195-1,57215,0851,610
東京電力14,44418,45816,522-1,936-1,53214,990546
北陸電力11,15516,49115,879-612-1,43214,4473,292
中国電力13,01217,42616,814-612-1,61215,2022,190
四国電力12,88416,60916,123-486-1,39214,7311,847
でんきるオリジナル作成

※補足説明※

  • 沖縄県のみ独自の負担軽減策を実施する予定のため表からは割愛

表の一番右の数値(申請前との差)が示す通りですが、家計への影響は小さくありません。

でんきる

2023年9月以降も何らかの措置は欲しいね!

再値上げの可能性がある

経済産業省は頑張って査定=圧縮したと推察されます。

しかし、それで喜んでいいのでしょうか?

裏返すと、査定=圧縮が大きいほど、電力会社にとっては不完全な料金値上げと言えます。

認可を受けた後の大手電力会社の反応は概ね、以下の通りです。

  • 大変厳しいが、可能な限り経営効率化を図りたいと思う
  • 収支への影響を最小化するように努力したい

これでしばらくは安定すると感じる方はどの程度いるのでしょうか?

「努力はしたが、結果、ダメだった」という最悪のシナリオも想定されます。

特に注視したいのは「原子力」の織り込みです。

各大手電力会社は既に「合格」し、稼働しそうなプラントのみを今回の算定期間3年間の後半に織り込んでいます。

ただ、東京電力の「柏崎刈羽7号機」だけは2023年10月稼働とのこと。

査定率も大きく、再度値上げ申請という可能性を否定できません。

でんきる

再値上げの可能性は大きそう...

原子力の再稼働との関係性

政府が「原子力再稼働・革新的原子炉開発」にまで舵を切ったのは、発電における効率性の高さです。

(参照:原子力政策に関する今後の検討事項について

北海道電力だけは「泊発電所が再稼働できたら電気料金を値下げする」と明言しており、申請書にも記載しています。

これは原子力のポテンシャルを示すものであると言えます。

地域による不公平感

関西電力、中部電力、九州電力は値上げ申請をしていません。

関西・中部・九州エリアに在住の方にとっては安くてお得なのは歓迎ですが、それ以外の地域での不公平感をどうするのでしょうか。

制度設計を改めるポイントであると言えます。

電気代値上げと今後の取組み

電気代値上げと今後の取組み

これから電力業界はどうなるのでしょうか?

2016年に全面自由化がスタートした当初、新規参入者も新しいビジネスチャンスとして大盛り上がりしていました。

@10円/kWh前後の廉価な価格で、しかも大量に電力取引市場に電力を供給することが、自由化の活性化に繋がるという観点で考えてみます。

電力自由化のやり直し

大手電力会社による不祥事や電気料金高騰の反省は、「電力自由化」で大手電力会社の在り方を変えたつもりが、実は何も変わっていなかったということです。

更なる「電力システム改革」は必要でしょう。

解体的電力システム革命

更なる「電力システム改革」の実現に向け、向き合っていくべき議題です。

  • 送配電会社の法的分離(所有権分離)
  • 発販分離(発電と販売の分離)

原子力を民間会社で運営することが不可能であることは、福島事故で証明されました。

国か、それに準ずる機関が一括で運営することも視野に入るのではないでしょうか。

原子力の再稼働と電力市場の活性化

今回浮き彫りになったのは「原子力の優位性」です。

原子力の再稼働は、「電気料金安定」を生み出します。

安価な電を大量に安定供給することが、業界の活性化に資することであり、疲弊している電力業界を救う手立てと言えそうです。

電気代値上げ申請と認可のまとめ

2023年の大手電力会社による値上げ申請、そして経済産業省による認可。そして今後のこと。

まとめる内容が多岐に渡るため、分かりやすくポイント毎に明記します。

まとめ その1

大手電力会社7社の電気料金の値上げが、2023年月5月19日に認可されました。

40%を超える値上げが必要な会社から、原子力の再稼働により安価な電力を供給できそうな会社まで、明暗の差は大幅でした。

「明」にいる電力は新規顧客の獲得攻勢などに余力を残し、「暗」にいる会社は再値上げまで考える必要あり、という結果になりました。

まとめ その2

電力料金の大幅値上げから「化石燃料頼みからの脱却」が必要なことが明白になりました。

ロシアのウクライナ侵攻が終わっても、その後エネルギー資源国で何が起きるか、誰も予想できません。

まとめ その3

電力自由化の構想から30年、制度の見直し時期であったことは確かです。

これを機会に、根本からの見直し・制度の再設計を考える必要があります。

特に、大手を中心とした電力会社のあり方、すなわち「電力システム改革」の再構築が急務です。

記事の中では扱いませんでしたが、近いうちに「温暖化対策」が必ず電力業界を震撼させます。

石油の75%、石炭の50%のカーボンを排出するLNGがなぜ容認されているのでしょうか。(ということにも、最後触れておきます)

課題の多い電力業界ですが、電力自由化の見直しを行い、業界の再活性化へと繋がることがでんきるの願いです。

でんきる

電力業界のこれからを考える機会になったね!