燃料費調整額とは?電力会社の値上げ申請の理由をわかりやすく解説します。

燃料費調整額とは?

電気料金の請求書に「燃料費調整額」という欄があり、「これは何だろう?」と思ったことはありませんか?

なぜ電気代があがっているように見えるのか、「燃料費調整額」がどのような役割を担っているのか、気になったことはありませんか?

今回は、電気料金の請求書の項目の一つである「燃料費調整額」について詳しく解説していきます。

でんきる

燃料費調整額が気になっている方は必見です!

「燃料費調整額」とは?

燃料費調整額とは?

電力会社にとって、経営環境の安定化は重要な課題です。

この課題解決のため平成8年に導入されたのが「燃料費調整額」でした。

燃料費調整額とは?

事業者の効率化努力のおよばない燃料価格や為替レートの影響を外部化し、事業者の経営効率化の成果を明確化することで、経済情勢の変化をできる限り迅速に料金に反映させることを目的としている

過去の電気料金改訂の歴史を知ることで、燃料費調整額の理解がより深まります。

でんきる

電気料金改定の歴史を知ることで、より理解が深まるよ!

過去の電力料金制度

過去の電気料金の値上げ手続きはどうだったのでしょうか。

国民生活や企業活動に影響するため、そう簡単に規制当局が認めるはずがありません。

幾度にもわたり公聴会を行い手間と時間をかけ査定した結果、電力会社の思う通りの値上げは実現しませんでした。

一方、東日本大震災に伴う福島第一事故で原子力発電所が全停止し、計画停電を要請する事態まで電力不足に陥りました。

とことんまで経営を圧迫されて、はじめて料金値上げが認められたのは記憶に新しいところです。

でんきる

値上げは国民感情への配慮が必要なんだ。

電力料金の値上げが決定すると、電力会社はいろいろな想定をおこないます。

電力会社が想定すること

  • 受給計画の見直し
  • 設備投資計画の見直し
  • 採用計画などの基本的計画の再点検
  • 原油・LNG・石炭などの燃料費単価
  • 原子力の稼働率
  • 為替レート
  • ゼロコストの水力発電を稼働させる降雨量

などなど。

値上げが実行された後も、想定より上ブレたり、下ブレたり。

上ブレしたら還元したり設備投資に回せば良いですが、下ブレしたらどうするのでしょうか?

電力会社はとにかく耐えるそうです。

それで経営の限界がきたらまた値上げ申請をおこなう。

この繰り返しだったようです。

でんきる

電気料金の値上げ申請、大変そうだな。。。

今では、経済産業省は燃料費為替レートについては「事業者の効率化努力がおよばないので外部化する」と言っています。

電力会社にとって燃料費とは?

「事業効率化」とは関係のない「電力会社にはどうしようもない要因で決定されるコスト」

国の根幹である電力を扱う会社の経営がグラグラしてもらっては困るということでしょうか。

この基本姿勢は現在でも引き継がれていると言えます。

燃料費調整制度の概要

電力会社の努力が及ばないものの代表例は「燃料価格」です。

原油・LNG・石炭など複数ありますが、全て海外に依存しています。

特に原油は、政情不安定な中東の国々に依存しており、産油国で結成するOPEC(石油輸出国機構)の意向に沿うしかありません。

LNG・石炭にしても輸出国の意向が全てで、今の日本の発電需要での依存度は大変高いものです。

外部環境が変化する中で、電力会社の安定を守りたい。そのためには「燃料価格」を電気料金に反映する必要がある。

そうした背景から制定されたのが「燃料費調整制度」です。

燃料費調整制度の概要

・過去3ヶ月分の実際の石油・LNG・石炭の実際の価格(平均燃料価格)

・現在の電気料金を国に申請した際に決めた燃料価格(基準燃料価格)

上記2つを比較し、前者が高ければプラス側に価格調整、後者が高ければマイナス側に価格調整します

可能な限り速やかに、燃料費の変動を電気料金に反映しようとする仕組みです

燃料費調整制度の特徴

  • 急激な燃料価格の変動を迅速に料金反映させ、料金変動を平準化させる必要があるとして毎月調整することができる
燃料費調整制度「平均燃料価格」算定イメージ
「でんきる」作成
でんきる

ロシアのウクライナ進行と円安が相まっての電気代高騰は典型的な事例と言えるね。

「燃料費調整額」は電力会社によって異なる

電力会社の電気料金の考え方には2種類あります。「自由料金」「規制料金」です。

「自由料金」とは?

電力自由化によって生まれた料金プラン。新規参入者が創意工夫で顧客サービスを考え、業界活性化と電力料金低減につながる

「規制料金」とは?

自由化前からの料金プラン。2020年3月に廃止される予定だったが、電力市場の成熟度や顧客保護の観点から廃止が見送られ、現在も継続している。大手電力会社(東京電力、中部電力など)が設定する「従量電灯」が該当し、これまで通り法的規制を受ける

燃料費調整額の上限も決められており、料金改訂には国の審査や査定が必要

でんきる

世間を賑わせている料金値上げは「規制料金」についてだよ!

下記一覧表をご覧ください。

2022年前半から各社とも「燃料費調整額」の上限を超えています。

各社とも主にロシアのウクライナ侵攻による燃料費の高騰を理由にしています。(上限額を超えた部分は、顧客保護の観点から電力会社負担)

「燃料費調整額」や上限額が電力会社毎に違うのは、資源の調達量や費用が会社によって異なるからです。

「でんきる」作成

「でんきる」では、大手電力会社10社の燃料費調整額の単価推移を定点観測し、一覧表を作成しています。

電力会社によって異なるの燃料費トレンドを把握したい場合には、以下の記事もチェックしてみてください。

>>大手電力会社の燃料費調整額推移一覧表

「燃料費調整額」はなぜ上限に?

なぜ「燃料費調整費」が上限を超えてしまっているのでしょうか?

燃料費高騰以外にも不可抗力が重なり、経済産業省の思い通り進まなかったということが言えます。

東日本大震災

福島第一発電所事故が発生したことで原子力は全停止し、絶対的電力不足に追い込まれました。

結果、電力会社の目線では低廉化するはずの電力=商品そのものがなくなってしまいました。

新規参入を目指す企業は、儲けを生み出すはずの最安原価の商品を失いました。

脱炭素圧力

気候変動への対応策として世界中でカーボンニュートラルが宣言される世の中になりました。

しかし、結果として比較的脱炭素に有効とされるLNGが奪い合いになる世の中が到来。

価格高騰を招いています。

気候変動の激甚化

2021年の冬に電力需給が逼迫し、電力不足が話題になりました。常識的に電力使用のピークは夏のクーラー需要だったはずです。

電力市場(JEPX)の相場が高騰し、多くのJEPX頼み新規参入社の倒産・事業撤退は記憶に新しいところです。

自然環境も味方ではなかったようです。

電気料金値上げの概要【2023年版】

電気料金値上げの概要

「円安」と「ロシアのウクライナ侵攻」が重くのしかかり、大幅な電力料金値上げが家計を締め付けはじめています。

大手電力会社10社中7社が値上げ申請する予定とのことです。(2023/2/19現在)

大手電力会社の電気料金の値上げ
「でんきる」作成
でんきる

西村経産大臣は「あまりの申請幅に驚いた」とコメントしていたよ

政府は電気料金の値上げに対して「激変緩和措置」を発表しています。

具体的には2023年2月請求分から補助が入り、kWhあたり@7円安くなるそうです。

これは、平均的な家庭で1月請求分と比べて、1,600〜1,800円ほど値下がりする試算になります。

でんきる

政府の次の一手にも期待だね!

電気料金を安くするためには?

電気料金を安くするためには?

電気料金はしばらく高騰を続ける想定のため、各ご家庭での節約することをおすすめします。

電気料金を安くする最も簡単な方法は、エネルギーの使用量を抑えた省エネ生活を送ることです。

また、最近では節約の方法としてスマート電化の活用も注目されています。

ここでは以下について説明していきます。

  • 簡単にできる省エネ方法
  • 話題のスマート電化

簡単にできる省エネ方法

省エネ方法を知っているだけで、毎月の電気料金が節約できます。

使用していない場所の電気を消す無駄にエアコンを稼働させないなどはもちろん、エアコンの室外機に水をかけることで省エネに繋がることをご存知でしょうか?

室外機には熱を外に排出し、オーバーヒートを避けつつ稼働効率を向上させる働きがあります。そのため、エアコンの室外機が熱くなり過ぎてしまうと、エアコンの稼働率が悪くなり、必要以上に電力を使ってしまいます。

そこで・・・

室外機にあらかじめ水をかけておき、冷やしておくと熱による影響が出にくくなり、夏場の電力消費を抑えられます。

室外機が壊れてしまうのでは?

室外機に水をかける際、壊れないか心配になってしまう方もいると思いますが、全く問題ありません。

室外機は普段屋外にあるため、当然雨などの防水対策がされています。そのため、大量の水を集中してかけない限り影響はありません。

他には・・・

  • 室外機に直接日光を当てないように日陰をつくり、排熱する
  • 吹き出し口をまめに掃除し、スムーズに風が通るようにする

などもすぐにできるオススメの省エネ方法です。

でんきる

節約生活。塵も積もれば山となりそうだね!

話題のスマート電化

スマート電化の導入も、電気料金抑制に繋げる手段のひとつです。

スマート電化は、オール電化のコンセプトに加えて、スマートテクノロジーを活用してエネルギーの効率化を図ることを意味します。

つまり、住宅のエネルギー需要を電気だけで賄うだけでなく、スマートメーター、センサー、モニターなどの技術を使用して、エネルギーの使用量を最適化することができます。

たとえば、給湯器が使用される時間帯や、家族の人数に応じて電力供給を調整することができます。これにより、エネルギーコストを抑えながら、より快適で効率的な住環境を実現することができます。

オール電化とは?

石油・ガスなどの燃料を使わずに住宅のエネルギー需要を電気だけでまかなうことを目的としている

スマート電化とは?

オール電化にスマートテクノロジーを取り入れたもの。スマートメーターやセンサーなどの技術を使い、より効率的でエコロジカルな住環境を実現することを目的としている

電力会社の中にはスマート電化プランを設けているところもあります。

スマート電化プランでは夜間の電気代が通常よりも安くなるため、エコキュートを利用し夜間にお湯などを沸かしておけば、より電気代を節約することが可能です。

夜間の電力料金はどの大手電力会社でも異なりますが、東京電力の場合は昼間(6時〜翌1時)に1kWhあたり25円80銭なのに対し、夜間(1時〜6時)は17円78銭となっております。北海道電力でも昼間は1kWhあたり27円05銭、夜間は17円63銭と設定され、どちらも7円以上も電気料金が安くなっているのです。

燃料費調整額が高騰している今だからこそ、オール電化を検討している方は、スマート電化にすることも合わせて検討してみてください。

燃料費調整額のまとめ

燃料費調整額のまとめ

「燃料費調整額」とは、電力会社の原価構造の中で最も負担が大きく、一民間会社ではどうすることもできない変動費用である燃料費負担を、迅速に電気料金に反映できるようにする制度です。

電力会社によって「燃料費調整額」は異なりますので、値上げ有無・幅は各世帯でしっかり確認する必要があります。

「規制料金」では、消費者のセーフティーネットとして上限が決められていますが、全ての大手電力会社(東京電力、中部電力など)で上限額を上回っています。

電気料金の高騰は続くことが想定されるため、まずはご自身で、家族構成や生活パターンを認識した上で、電気の節約に取り組んだり、プランの見直し電力会社の切り替えをしてみてはいかがでしょうか。

でんきる

まずは電気使用量の確認から始めてみよう!