
この記事では、2023年・2025年に実施された料金改定の時期とその背景を、初心者にもわかりやすく解説していきます。
なぜ電気料金が上がるのか?今後も上がり続けるのか?という疑問に答えるとともに、電気代を抑えるための現実的な対策も紹介します。

東京ガス「基本プラン」の値上げを解説していくよ!
目次
東京ガス「基本プラン」はいつ値上げされた?【過去の料金改定履歴】
2023年10月検針分からの値上げ
2025年3月検針分からの値上げ
過去の値上げ履歴まとめ表
過去の値上げによる電気料金への影響
東京ガスが値上げした理由とは?【背景と制度の変化】
燃料価格の高騰(ウクライナ情勢・円安)
託送料金や容量市場など制度的な要因
補助金縮小と再エネ賦課金の影響
電力市場の構造変化と今後の見通し
東京ガスの料金は今後も上がる?利用者ができる対策とは
電力会社の見直し・乗り換えという選択肢
節電・使用時間帯の見直し
太陽光発電や蓄電池の活用検討
値上げによる東京電力との比較は?値上げ後の電気料金比較
料金表比較【東京ガスと東京電力】
まとめ|東京ガスの電気料金はなぜ上がったのか?
東京ガス「基本プラン」はいつ値上げされた?【過去の料金改定履歴】

東京ガスの電気「基本プラン」は、これまでに複数回の料金改定を実施しています。
直近では以下の2回の値上げが大きな影響を及ぼしました。
補助金がある間の実質負担は限定的ですが、補助終了後は明確な負担増となる点も注意が必要です。
2023年10月検針分からの値上げ
2023年6月に発表された改定により、同年10月の検針分から電力量料金・基本料金の値上げが行われました。
これは主に燃料費の高騰と託送料金の見直しに対応するもので、標準的な四人暮らしの家族(50A契約/450kWh使用を想定)で月間約4,600円の値上げになりました。(でんきる調べ)
ただし、国からの補助(参照:経済産業省ホームページ 電気・ガス価格激変緩和対策事業)が出ていた期間もあるため、その期間においての実質負担は月間約1,500円~3,000円ほどでした。
東京ガスの燃料費調整額や国による補助について詳しくまとめた記事はこちら(↓)
東京ガスの燃料費調整額って何?お得に節約する方法を徹底解説!
2025年3月検針分からの値上げ
2024年10月の発表により、2025年3月検針分から再び料金の改定が実施されています。
こちらは主に発電所維持費の他、容量市場導入・託送料金見直しなどの電力制度の変更などが背景にあり、標準的な四人暮らしの家族(50A契約/450kWh使用を想定)で月間約400円の値上げになりました。(でんきる調べ)
過去の値上げ履歴まとめ表
過去の値上げ履歴と実際の電気料金表をまとめました。
適用時期 | 発表日 | 改定内容 | 値上げ理由 |
---|---|---|---|
2023年10月検針分 | 2023年6月9日 | 基本料金・電力量単価値上げ | 燃料価格の高騰・託送料金見直し |
2025年3月検針分 | 2024年10月1日 | 同上 | 電力事業制度変更の影響など |
以下が実際の電気料金の変遷です。
改定前
東京ガス | ||
---|---|---|
基本料金 | 10A | 286.00円 |
15A | 429.00円 | |
20A | 572.00円 | |
30A | 858.00円 | |
40A | 1,144.00円 | |
50A | 1,430.00円 | |
60A | 1,716.00円 | |
電気料金 | 〜120kWh | 19.78円 |
120kWh〜300kWh | 25.29円 | |
300kWh〜 | 27.36円 |
2023年10月検針分からの料金表
東京ガス | ||
---|---|---|
基本料金 | 10A | 295.24円 |
15A | 442.86円 | |
20A | 590.48円 | |
30A | 885.72円 | |
40A | 1,180.96円 | |
50A | 1,476.20円 | |
60A | 1,771.44円 | |
電気料金 | 〜120kWh | 29.90円 |
120kWh〜300kWh | 35.41円 | |
300kWh〜 | 37.48円 |
値上率
項目 | アンペア、使用量 | 値上率 |
---|---|---|
基本料金 | 10A | 3.2% |
15A | 3.2% | |
20A | 3.2% | |
30A | 3.2% | |
40A | 3.2% | |
50A | 3.2% | |
60A | 3.2% | |
電気料金 | ~120kWh | 51.1% |
120kWh~300kWH | 40.0% | |
300kWh~ | 37.0% |
2025年3月検針分からの料金表【現在適用】
東京ガス | ||
---|---|---|
基本料金 | 10A | 311.74円 |
15A | 467.61円 | |
20A | 623.48円 | |
30A | 935.22円 | |
40A | 1,246.96円 | |
50A | 1,558.70円 | |
60A | 1,870.44円 | |
電気料金 | 〜120kWh | 29.70円 |
120kWh〜300kWh | 35.69円 | |
300kWh〜 | 39.50円 |
※備考:2023年10月時点および2025年2月変更(3月検針分より適用)時点の基本プランの基本料金+電力量料金。
値上率
項目 | アンペア、使用量 | 値上率 |
---|---|---|
基本料金 | 10A | 5.6% |
15A | 5.6% | |
20A | 5.6% | |
30A | 5.6% | |
40A | 5.6% | |
50A | 5.6% | |
60A | 5.6% | |
電気料金 | ~120kWh | ▲0.7%(値下げ) |
120kWh~300kWH | 0.79% | |
300kWh~ | 5.4% |
過去の値上げによる電気料金への影響
2023年10月検針分から
世帯 | 契約容量 | 使用量 | 東京ガス | 東京ガス | 差額 | 差額(年) |
---|---|---|---|---|---|---|
一人暮らし (単身) |
30A | 260 | 6,772円 | 9,431円 | -2,659円 | -31,907円 |
二人暮らし (DINKS) |
40A | 260 | 7,058円 | 9,726円 | -2,668円 | -32,018円 |
四人暮らし (家族) |
50A | 450 | 12,460円 | 17,060円 | -4,600円 | -55,202円 |
※備考1:上記は改定前後の料金表から単純計算により差額を算出したデータ
※備考2:国による補助の影響により値上げ分の差額は吸収されるため、実際に契約者が支払った金額は上記より低い想定
2025年3月検針分から
世帯 | 契約容量 | 使用量 | 東京ガス | 東京ガス | 差額 | 差額(年) |
---|---|---|---|---|---|---|
一人暮らし (単身) |
30A | 260 | 9,431円 | 9,496円 | -65円 | -777円 |
二人暮らし (DINKS) |
40A | 260 | 9,726円 | 9,808円 | -82円 | -975円 |
四人暮らし (家族) |
50A | 450 | 17,060円 | 17,472円 | -412円 | -4,943円 |
※上記は改定前後の料金表から単純計算により差額を算出したデータ
※国による補助の影響により値上げ分の差額は吸収されるため、実際に契約者が支払った金額は上記より低い想定
東京ガスが値上げした理由とは?【背景と制度の変化】

値上げの背景には、単純なコスト増だけでなく、国の制度変更や国際情勢も深く関係しています。
燃料価格の高騰(ウクライナ情勢・円安)
2022年以降、ロシアによるウクライナ侵攻や為替相場の円安進行により、LNG(液化天然ガス)や石炭、原油の調達コストが大幅に上昇。
電気をつくるための燃料費が高騰し、東京ガスを含む多くの電力会社が経営的に圧迫されました。
燃料費調整額についてまとめた記事もご参照ください(↓)
託送料金や容量市場など制度的な要因
送配電網を維持・管理するコストを反映する「託送料金」や、発電所の確保のために導入された「容量市場」など、2020年代に入ってからの新制度が電力料金に転嫁される形となり、基本プランの価格見直しに直結しています。
補助金縮小と再エネ賦課金の影響
2023~2024年にかけて政府が実施していた電気・ガス料金の補助金(激変緩和措置)は、2025年初頭で段階的に終了。
さらに再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)が2025年夏以降に上昇することも、料金改定の一因です。
電力市場の構造変化と今後の見通し
近年の電力市場では、需要逼迫や発電所の老朽化、気候変動リスクへの対応コストなどが慢性的な課題となっています。
こうした構造的な背景からも、今後も電気料金が安定的に下がる見込みは薄く、長期的には値上げ圧力継続の見通しです。
東京ガスの料金は今後も上がる?利用者ができる対策とは

今後も制度や燃料価格の変動に応じて、電気料金が見直される可能性は十分にあります。
とはいえ、利用者としてもできる対策があります。賢く電気を利用して、生活コストを下げるに越したことはありません。
電力会社の見直し・乗り換えという選択肢
電力自由化により、東京ガス以外にも多くの新電力会社が家庭向け電気プランを提供しています。
セット割やポイント還元があるプランも増えており、比較検討することで料金を抑えられるケースも多くあります。
関東でおすすめの電力会社をまとめた記事も合わせてご参照ください(↓)
節電・使用時間帯の見直し
ピーク時間帯の使用を避けたり、省エネ家電へ切り替えたりすることで、月々の電気代を軽減することが可能です。
太陽光発電や蓄電池の活用検討
自家消費型の電力活用として注目されているのが、太陽光発電+蓄電池の導入です。初期投資はかかりますが、長期的に見るとランニングコスト削減につながる可能性もあります。
値上げによる東京電力との比較は?値上げ後の電気料金比較
東京ガス「基本プラン」の値上げ後と東京電力の電気代はどちらが安いのでしょうか?
結局、気になるのはこのポイントかと思います。
料金表比較【東京ガスと東京電力】
ここでは東京ガスと東京電力の料金表を比較していきます。
- 東京ガス:基本プラン
- 東京電力:従量電灯Bプラン
東京ガス | 東京電力 | ||
---|---|---|---|
基本料金 | 10A | 311.74円 | 311.75円 |
15A | 467.61円 | 467.63円 | |
20A | 623.48円 | 623.50円 | |
30A | 935.22円 | 935.25円 | |
40A | 1,246.96円 | 1,247.00円 | |
50A | 1,558.70円 | 1,558.75円 | |
60A | 1,870.44円 | 1,870.50円 | |
電気料金 | 〜120kWh | 29.70円 | 29.80円 |
120kWh〜300kWh | 35.69円 | 36.40円 | |
300kWh〜 | 39.50円 | 40.49円 |
※東京ガス:※2023年10月時点および2025年2月変更(3月検針分より適用)時点の基本プランの基本料金+電力量料金。
※電気料金には、上記金額にプラスして、「燃料費調整額」と「再生可能エネルギー発電促進賦課金」が加わります。
基本料金・電気料金単価ともに東京ガスの方が安く設定されています。
まとめ|東京ガスの電気料金はなぜ上がったのか?

東京ガス「基本プラン」の電気料金は、燃料費や制度変更といった外的要因によって過去数年間にわたり段階的に引き上げられてきました。
2025年3月検針分からの値上げもその一環であり、補助金終了や新たな制度導入など避けられない理由が背景にあります。
今後も同様の傾向が続くことが予想されるため、利用者としては電力プランの見直しや節電対策、再エネ導入などを検討しながら、自衛していくことが求められます。